不動産相続における現物分割とは?メリットや現物分割しやすいケースを解説

不動産お役立ちコラム

不動産相続における現物分割とは?メリットや現物分割しやすいケースを解説

この記事のハイライト
●現物分割とは相続の際に遺産をそのままの状態で分割する方法のこと
●現物分割は手続きが簡単でもめごとが起きにくい点がメリット
●多様な遺産がある・遺産額を預貯金などで調整できる・特定の相続人に遺産相続させたい場合に最適

遺産の分割方法には主に3つありますが、なかでも「現物分割」がよく使われます。
本記事では「現物分割」とはなにか、メリット・デメリットや現物分割に適したケースを解説します。
明石市、神戸市、加古郡、加古川市、高砂市、姫路市、小野市、三木市、西宮市、尼崎市、兵庫県全般で不動産を相続予定の方は、ぜひ参考になさってください。

相続における現物分割とは?

相続における現物分割とは?

現物分割とは、遺産の形や性質をそのままにして、相続人それぞれが特定の遺産を受け取る方法です。
たとえば、兄弟が以下の遺産を相続するとします。

  • ●現金 1,000万円
  • ●土地(時価1,000万円)
  • ●自動車(時価500万円)

上記の場合、現物分割すると、兄が現金250万円と土地を受け取り、弟が現金750万円と自動車を受け取ることになります。
また、別の例として、長男が土地を相続、次男が株式を相続、三男が現金を相続といったように、それぞれが特定の遺産をそのまま受け取る方法も現物分割に該当します。
遺産の形を変えずに分けるため、相続人ごとに具体的な遺産を受け取ることができるのが現物分割の特徴です。

土地の分筆

遺産に土地が含まれていて相続人が複数いる場合、土地を「分筆」することもあります。
分筆とは、1つの土地を複数に分けて登記し直すことです。
たとえば、3人の相続人がいる場合、土地を3つに分けてそれぞれが取得する方法も現物分割の1つです。

現物分割以外の分割方法

現物分割のほかにも、「代償分割」や「換価分割」と呼ばれる遺産分割の方法があります。
代償分割とは、遺産を多く受け取る相続人が、他の相続人に対して差額分を現金などで補償する方法です。
たとえば、兄が2,000万円の不動産を相続し、弟が1,500万円の自動車を取得する場合、兄は弟に250万円を支払います。
このように、兄が多く受け取った分を現金で弟に補償することによって、公平性が保たれます。
換価分割とは、対象となる遺産を売却して現金化し、その現金を相続人同士で分ける方法です。
たとえば、相続した土地を3,000万円で売却し、兄弟3人で1,000万円ずつ分ける場合、土地を売却して得た現金を均等に分配します。
これにより、誰も特定の財産を取得せずに公平に分けることができます。
代償分割は、現物分割が難しい場合や特定の相続人が特定の遺産を希望する場合に適している方法です。
一方、換価分割は、誰も特定の財産を取得したがらない場合や、現物分割が複雑になる場合に有効です。
どの分割方法が最適かは、遺産の内容や相続人の希望によって異なります。
相続人同士で十分に話し合い、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが大切です。

現物分割で相続するメリット・デメリット

現物分割で相続するメリット・デメリット

不動産を含む遺産を相続する際は、どのように遺産分割すべきか悩むところでしょう。
現物分割で遺産相続するメリット・デメリットは、以下のとおりです。

現物分割で相続するメリット

現物分割で不動産を相続する主なメリットは、以下の2つです。

  • ●手続きが簡単
  • ●もめごとが起きにくい

現物分割の最大のメリットは、手続きがシンプルなことです。
たとえば、家や車を相続する場合、家や車の名義を自分の名前に変更するだけで済みます。
一方、他の分割方法では手間がかかります。
換価分割の場合は、不動産を売却する手続きが必要です。
代償分割の場合、不動産の価値を評価し、差額を現金でやり取りする必要があります。
現物分割を選ぶと、複雑な手続きを避け、スムーズに相続手続きを進めることができます。
また、不動産を相続する際、他の分割方法では価値の評価でトラブルが起きやすいです。
代償分割や換価分割の場合、不動産の評価額を決める必要があります。
たとえば、同じ不動産でも1,000万円と1,200万円など、評価方法によって評価額が異なることがあります。
評価額が違うと、相続人間で分配額に対する意見が分かれ、もめ事の原因になる可能性が高いです。
一方、現物分割では「誰がどの遺産を受け取るか」を決めるだけなので、評価額の違いによるトラブルが起きにくいです。
これにより、相続人同士の関係を円満に保つことができます。

現物分割で相続するデメリット

現物分割は、手続きが簡単でスムーズに相続できる方法ですが、以下のデメリットも存在します。

  • ●不公平が生じやすい
  • ●土地の分筆が難しい場合がある

現物分割では、相続人ごとに遺産を分ける際に、必ずしも同じ価値になるとは限りません。
たとえば、ある相続人が価値の高い不動産を受け取ると、他の相続人から不満が出ることがあります。
また、遺産が不動産のみの場合、1人の相続人がすべての不動産を相続すると、他の相続人は何も受け取れず、不公平感が生まれやすくなります。
このように、相続人間での価値のバランスが崩れると、トラブルの原因となることがあるため、注意が必要です。
また、土地を現物分割する際には、「分筆」という手続きをおこないますが、以下のような理由で分筆が難しい場合があります。

  • ●条例で分筆が禁止されている地域
  • ●境界が不明確な土地
  • ●土地の用途制限

一部の地域では、地方自治体の条例により土地の分割が認められていないことがあります。
また、土地の境界がはっきりしていない場合や、分筆後の敷地面積が法定の最低基準に満たない場合は、分筆ができません。
分筆が可能でも、分割後の土地の用途が制限され、資産価値が下がる可能性があります。
これらの理由から、土地の現物分割は必ずしも簡単ではなく、場合によっては他の分割方法を検討する必要があります。

相続において現物分割が向いているケース

相続において現物分割が向いているケース

現物分割は遺産を分ける際に、よく選ばれる方法ですが、すべてのケースに適しているわけではありません。
現物分割が最適かどうかは遺産の内容や相続人の状況によります。
相続方法を選ぶ際には、相続人全員で十分に話し合い、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが大切です。
現物分割がとくに適しているケースは、以下の3つです。

①多様な遺産がある場合

不動産、現金、自動車など、さまざまな種類の遺産がある場合、現物分割を利用すると相続人それぞれがスムーズに遺産を取得しやすくなります。
たとえば、不動産と現金、自動車を兄弟3人で分ける場合、長男が不動産、次男が現金、三男が自動車を相続するなど、種類ごとに遺産を分割できます。

②遺産額を預貯金などで調整できる場合

遺産のなかに預貯金や現金が含まれている場合、現金を使って遺産額を調整しやすいです。
これにより、各相続人が受け取る遺産の総額を均等にすることが可能です。
たとえば、相続財産が株式600万円、土地1,000万円、預貯金1,000万円のケースで考えてみましょう。
兄弟2人の場合、兄が預貯金300万円と土地1,000万円を相続、弟が預貯金700万円と株式600万円を相続すると、各相続人が約1,300万円ずつ公平に分割できます。

③特定の相続人に遺産相続させたい場合

「実家を継ぐ長男に多くの財産を相続させたい」などの希望がある場合、現物分割を選ぶと、特定の相続人に遺産を集中させることができます。
たとえば、長男に不動産を多く相続させ、他の相続人には現金やその他の遺産を分配するなど、特定の相続人に遺産を集中させるケースも多いです。
親が元気なうちに、あらかじめ家族間で誰に相続させるかを話し合っておくと、家族間の合意を得やすくなります。

まとめ

現物分割とは、相続の際に遺産をそのままの状態で分割する方法のことを指します。
現物分割は、手続きが簡単でもめごとが起きにくい点がメリットですが、不公平が生じやすく、土地の分筆が難しい場合がある点がデメリットです。
現物分割に向いているのは、多様な遺産があるケース、遺産額を預貯金などで調整できるケース、特定の相続人に遺産相続させたいケースが挙げられます。
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